うたのちから

うちの近所の年輩のご婦人で、
奄美大島の喜界島出身の方から
十九の春でもおなじみ田端義夫のヒット曲「島育ち」を
三線で弾きたいからと譜面をお願いされていた。
歌詞の中にでてくる「加那も年頃〜」から、
自分の娘に「加那子」と名前をつけた、とおっしゃっていた。


聴いたことはあるけれど、あまり知らない曲。
youtubeで何度も聴いて夜なべして譜面を書き、
歌えるように何日か練習した。
そして昨日。


いっしょに歌いましょう、と私が三線弾いて、
用意しておいた譜面と歌詞を見ながら唄いだしたら、
その方、途中から泣きだしてしまった。

二番の歌詞
 黒潮黒髪 女身ぬ愛しゃ
 想い真胸に 想い真胸に
 織る島紬
のところで、亡くなられたお母さんの
紬を織っていた姿と島の風景想い出して、
涙がとまらなくなったと、ひとしきり泣いて
そのあとまっすぐ私の方を見て
「本当にありがとうございました」と
おっしゃられた。


私はただ、そんな事とは知らずに、
工工四三線の譜面)を書いて三線弾きながら歌っただけなのに、
その方にとって、そんなに大切な大切なうただとは思わなかったから

その涙に、私の方がただただ感動にうたれてもらい泣きしてしまった。



涙を吹いてから、「このうた三線弾きながら歌えるのを目標にしなくちゃ!
同窓会でみんなをびっくりさせるんだから」と
にっこり笑ってみせた。



その土地、その時代で、そこで生きたひとたちといっしょに生きて
こころの中にいまでも生きづいているうた。
ただいいうただな、とうたっていた自分が恥ずかしい。
でも、
こうやってこんなかたちであらためて出会わせてくれた。
三線やっていなければ知らなかった。このうたも今日の感動も。
おおげさだけど、やっぱりやってて良かったと思う。



今日、91歳の沖縄のおばぁの唄を聴いてきた。
ひとを感動させるのは、うたの上手い歌手だけじゃない、
ひとを元気にさせることは、いくつになってもできるんだ、
(誰にでもできるわけではないけれど)
そんなことをいーっぱい感じた。



ナミィおばぁは、ほーんとにうたが好きなんだ、って感じた。
だってほんとに楽しそうに唄うんだもん。



昨日と今日は
音楽の神様が
あんたもがんばれよーと
肩をぽんと叩きに、
おりてきたような気がしています。