鶏刺し

主人の実家、鹿児島からは地鶏の刺身がクール便で届いた。薩摩鶏はニワトリとは全然違う。黒い羽、すらりとした長い足はダチョウと似ている。主人の実家の近くは養鶏園があちこちにあり、店先にウロウロと放し飼いにしている。特に正月のごちそうはこの鶏をつぶして(この言い方もかわいそう)皮は炊きこみご飯に、肉は刺身、骨のガラは大根やらゴボウなどの根菜と煮る(ガメ煮というらしい)。なので年末にはどの店も大忙し。去年の暮れに行った時は手違いで予約がもれていたので出直そうとしたら「ちょっと待っててね、今つぶしてもらうからね」と鶏をさばいているおばさんが外にいるおじさんに声を掛けようと戸口に出ると、そこらへんを駈け回っている鶏たちは、エサでももらえるのかといそいそとおばさんの所へ集まって来た。そのうれしそうな様子とおばさんの言動がなんともいえず残酷で、でもそれを食べようとしている私達もすごいなーと、とても妙な気分になった。
「いただきます」は「命をいただかせていただきます」の意味だそうだ。今日の鶏もおいしくいただかせていただきました。(ササミの部分だけでなく、モモも、キモも、ぜんぶ刺身で食べられる。臭みはまったくなし。にんにく醤油(鹿児島のお醤油は甘い!)と大根の千切りたっぷりでいただきます。