こんなの読んだら自然にわかる

永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)

最近飛行機なんかの移動のひまつぶしに
軽い恋愛小説やエッセイなんかを流し読みして
なんか「読書」してなかった。
だから
心を揺さぶられて、最後に涙があふれて仕方がない本に
久しぶりに出会った気がする。


何の前知識もないままだったから
0(ゼロ)は零戦闘機(ゼロ戦)の意味だというのも
読み始めてからわかった。
26歳の現代のニート中の若者が
同じ26歳で特攻で亡くなった祖父のことを調べていく話だけれど
そんな単純な話じゃない。
これが読み進むうちにひきこまれてしまう。
この作者のひと、どんだけこれ書くのに当時の、大戦のこと、軍隊のこと、戦闘機のこと、逝った人たちのこと、調べたんだか。
でもそれがひとりひとりその時に生きた生身の人間の目で話が進んでいくから、すごくすごくリアルに迫ってくる。
そしてあの時代に真珠湾ラバウルガダルカナルサイパン、沖縄。転戦を重ね生き残り「家族のために死にたくない」と言い、周りから非国民、臆病者と言われたその祖父がなぜ最期、特攻で死んだか・・・・その人物に実際会ったかのように感情移入してしまう。
歴史の教科書で習うより、戦争反対の勉強会にでるより、
こんなの読んだら自然とあの時代どうだったのか、
あの戦いはどうだったのか、

事実の羅列で知るよりずっとわかる。
そして読み終わったら
いまだからどうしなきゃいけないのか
ひとりひとりが自分で考えるきっかけになると思う。


だから、息子や娘に読ませたいし
私たちの世代だって読まなきゃいけない(そんな固い本じゃない)と思う



実際に戦争に行ってた私の祖父ももう亡くなって14年。
昨日のニュースで
英BBC放送で長崎・広島の原爆に遭遇してしまった被爆者を茶化すようなひどい番組があったという。
もうあの頃を知ってる世代は本当に少なくなってしまっている。


おじいちゃん。


涙の理由は、
この小説の内容だけじゃない気がするよ。