五観の偈(げ)

 一には功の多少を計(はか)り彼(か)の来処(らいしょ)を量(はか)る。
 二には己が徳行(とくぎょう)の全欠を忖(はか)つて供(く)に応(おう)ず。
 三には心を防ぎ過(とが)を離るることは貪等(とんとう)を宗(しゅう)とす。
 四には正に良薬を事とすることは形枯(ぎょうこ)を療(りょう)ぜんが為なり。
 五には成道(じょうどう)の為の故に今此(いまこ)の食(じき)を受く。

(訳)
 
・一つに,目の前に置かれた食事が出来上がってくるまでの手数のいかに多いかを考え,
それぞれの材料がここまできた経路を考えてみる。
・二つに,この食事を受けることは,数多くの人々の供養を受けることに他ならないが,
自分はその供養を受けるに足るだけの正しい行いができているかどうか反省して供養を受ける。
・三つに,常日頃,迷いの心が起きないように,また過ちを犯さないように心掛けるが,
その際に貪りの心,怒りの心,道理をわきまえぬ心の三つを根本として考える。
食事の場においても同様である。
・四つに,こうして食事を頂くことは,とりも直さず良薬を頂くことであり,それはこの身が
やせ衰えるのを防ぐためである。
・五つに,今こうやって食事を頂くのには,仏道を成就するという大きな目標がある。
                『典座教訓・赴粥飯法』(講談社学術文庫)より

昨日の飲み会で、ドーンと大きなお皿にのった「マグロのかまの塩焼き」が出て、(すっごくおいしかった!)そこからだったか生き物を殺生して食べることの話で盛り上がった。「いただきます、って命をいただかせていただきます」なんだよね、って。
で、座禅のお寺で教えてもらったこの五観の偈(げ)という文を思い出した。
ちっとも感謝して食べてない自分がいる。手軽に「商品」として食べ物が売っている日本で、こういう気持ちを持って食べる、っていうことって、忘れがち・・・。子どもにもちゃんと教えていかなければいけないことだと思うけれど・・・
せめて、いただきます、だけはちゃんと言わなくちゃね。


でも、食事ってもう一つ、意義はあるよね。みんなで、おいしいお酒を飲みながら、ワイワイ食べる、ってすごーく楽しい。親睦をはかるためにおいしいもの食べることって役割があると思う。大好きな絵本に「ゼラルダと人食い鬼」っていうのがある。

ゼラルダと人喰い鬼 (評論社の児童図書館・絵本の部屋)

ゼラルダと人喰い鬼 (評論社の児童図書館・絵本の部屋)


人食い鬼にさらわれたゼラルダが得意の料理を鬼達にごちそうするうちに、ゼラルダの食事を楽しみにするようになって鬼達の心が変わっていって、最後にはみなしごの子どもたちを集めて街を作るおはなし。食べること、って身体を作る、薬としての食、以外にも、それもあっていいんだよね・・・ね、id:okakiさん!