次男がキャンプから元気に帰ってきた。自分たちで摘んで作ったブルーベリージャムと、引っこ抜いてきた大根一本を持って。小雨にふられることもあったらしいが木こり体験、ハイキング、カンテラを作ってホタルとイワナ鑑賞、野菜収穫と盛り沢山で楽しかったようだ。このあたりではまったくない田んぼが宿の周り一面にあり、「カエルがうるさかった!ヘビも見たよ」との報告。私が小さい頃は母の田舎に夏じゅう行っていて、雨の後のたちのぼる霧やにおい、田んぼのぬかるみ、土のにおい、さされてこわかったアブ、それをたたいて殺したものを庭の小さな池のコイにやっては食べる様子を見ていたこと、夕方五右衛門風呂の薪をくべる匂い、川のむこうから聞こえてくるヒグラシの声、いとこと夢中で遊んだ缶けり、かくれたけれどちょっとこわかった物置の暗がり、おばあちゃんのほうじ茶の味。目を閉じるとあのわらぶき屋根の家のすみずみまで匂いや音といっしょにありありと浮かんでくる。
うちの子供たちには大人になっても胸がなつかしさでキュンとなるような原風景って心の中に育っているだろうか。この夏子供だけでいく大阪の実家で、田舎のような体験ができなくてもそんな思い出を心に作ってきてほしいと思う。